「どんな漢字で書くの」。仕事柄、子どもに名前を聞く機会が多い。口頭での説明は難しいこともあり、差し出したノートに書いてもらうと予想外な漢字の組み合わせ。読むにも書くにも難しい名前が増えているように感じる。
ベネッセは今月、赤ちゃんの名前に関する調査結果を発表した。男の子の最多は3年連続で「蓮」、女の子は5年連続で「陽葵」。どちらも洗練された名前だと納得したが、その主な読み方を見れば女の子は「ひまり」とある。「はるき」としか読めなかった私の頭は固すぎるのだろうか。
名前は赤ちゃんへの最初のプレゼント。子の幸せ願う親として、力が入るのも分かる。漢字の意味や画数、音の響きなどこだわりはさまざま。「皇帝」「七音」など、世に言うキラキラネームにも際立った個性を重んじる親の思いがあるのだろう。
古典落語で有名な「寿限無」。縁起の良い言葉を並べた長い名前の子どもが登場する笑い話だが、もともとはその名前が災いして子が命を落とす皮肉を込めた話だったという。時代は違えど、難解な名前を良しとする現代の親たちに冷や水を浴びせる話と考えることもできる。
「名は体を表す」と言われる。難読、奇抜な名前を否定するつもりはないが、名前のせいで子どもが生きにくさを感じるようなら本末転倒。愛着を持って長く付き合える名前であれば、親の思いは十分に伝わると信じたい。