秋になっても全面再開とはいかないようだ。大学の対面授業のことだ。新型コロナウイルスの感染が広がった春先から、多くの大学がパソコンを使った「オンライン授業」に切り替えた。後期授業が始まる時期だが、全国の大学の8割は対面とオンラインを併用する予定という。
友人や先輩、後輩に思うように会えず、気分が落ち込んでいる学生もいるだろう。大学生活を一変させたコロナ禍だが、世の中全体がさらされている試練でもある。
一時的な対応とみられた在宅勤務などのテレワークは都市部の大企業に定着してきた。当たり前だった通勤手当を廃止し、実費精算にする動きも出始めている。その代わり支払われるのが「在宅勤務手当」。家で仕事をすることでかかり増しになる光熱費や通信費を補償する。
くつろぎの場だった自宅が緊張と集中を求められる仕事場になっていくのか。「働きやすい住まいづくり」を提案する住宅メーカーも出てきた。むしろ冬場の通勤が大変な雪国こそ、在宅勤務が進む可能性だってある。
「未来から見れば、きっと今が歴史の転換期なんでしょう」。県立大の高橋秀晴教授(日本近現代文学)は初めてのオンライン授業への対応など身の回りの変化を通じ、そんなことを感じてきた。
いずれは社会に巣立つ大学生。転換期に直面した今の大学生活は苦労も多いだろうが、新型コロナによって変わり続ける社会生活への準備期間ともいえる。変化に対応する力を磨いてほしい。